平和の根が張り巡る島@ソロモン諸島

2016年8月12日✍️西日本新聞夕刊コラム「珍国恋して」より。

 

(※記事内の年月日は執筆した2016年が基準です)

南太平洋に浮かぶ島、ソロモン諸島。その1つ、ガダルカナル島は、太平洋戦争の激戦地だ。
旧日本軍が建設した飛行場を巡り、日米両軍が壮絶な戦いを繰り広げた。

日本からオーストラリアなどを経由し30時間ほどかかる。私はこの島に来るたびに訪れる場所がある。

補給を絶たれた日本兵たちが飢えやマラリアに苦しみ、逃げ惑ったアウステン山。その標高400メートルほどの場所にある慰霊碑だ。

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最初に訪れたのは2010年2月。落書きだらけの慰霊碑にがくぜんとした。
時を経て、3回目の訪問。この時は遺族の方々と一緒だった。いつもの山道を登りながら憂鬱な気分の私に、

ガイドの男性が「以前とは全く違うから驚かないで」と言う。

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その変わった様子を見た瞬間、涙があふれた。荒廃していた敷地は「平和公苑」として整備され、慰霊碑の落書きも消されていた。

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慰霊碑を前に遺族の一人が、ハーモニカで「ふるさと」を演奏した。

主に福岡出身で編成された歩兵第124連隊もここで戦った。遠い故郷、福岡の空と愛する人思いながら、

この地で命が尽きた若者思うと、喉の奥が熱くなる。

今も残る当時の戦車には、青々とした樹木は音を張る。戦車を包み込むその姿は、平和を訴えているようだった。

もうすぐ71回目の終戦記念日を迎える。

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