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【ナイジェリア】世界遺産「オシュン=オショグボの聖なる木立」の聖地再生に尽力した女性の話
西アフリカのナイジェリアにあるオシュン州は、同国の三大民族の一つ、ヨルバ人のふるさとだ。
経済都市ラゴスから約250㌔。激しい渋滞と悪路続きで5時間以上かかって州都オショグボに着いた。
そして聖地である原生林、世界遺産「オシュン=オショグボの聖なる木立」を訪れた。
ヨルバ人の神話によると、豊作の女神オシュンは近くを流れる川に姿を変え、川沿いの原生林に住み着いたという。
人々は社や神殿を造り、
オシュンをあがめた。
信仰は一時衰退したが1949年、元夫の仕事でオーストリアの芸術家スーザン氏が来たことで変わった。彼女は30代半ばでこの地に移り住み、聖地再生に尽力しただけでなく、修行を重ねて祭司にもなった。現地の男性と再婚し、子ども十数人を養子に迎えて育てた。
聖地が世界遺産に登録された4年後の2009年、93歳でその生涯を閉じた。
英紙ガーディアンの記者が彼女が亡くなる数週間前に訪れ、こう聞いた。
「あなたはまだ働くのですか」。
すると彼女はこう答えた。
「いいえ。私はまだ夢の途中なのよ」
オショグボにある彼女の自宅も訪れた。芸術的で、力強く静かなたたずまいは、彼女そのもののような気がした。
長年愛用していたという椅子があった。鉄製の背もたれに触れた時、不思議とぬくもりを感じた。