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ホタルと蝶が舞い降りた島【仏領グアドループーGuadeloupe】おススメ観光スポット
「カリブ海」と聞くだけで、青い空、眩しい太陽、美しい海、白い砂浜、ノリがいいラテン系の明るい人たちなど、リゾート感いっぱいで楽し気な雰囲気をイメージする人が多いと思う。一方、日本人からすると、余り馴染みがない分、どこか遠い世界のことのように感じる人もいるのではないだろうか。
こちらのサイトでは少しでもカリブ海の島々が身近に感じ、魅力が伝わるように現地で見て聞いて体験してきたことを綴っていきたいと思う。
この記事は
それでは、カリブ海の歴史について少し
15世紀頃から始まったカリブ海におけるコロンブスを中心としたヨーロッパ人の侵略は数々の悲しい歴史を残している。
それぞれの島で平和で幸せに暮らしていた先住民族たちは、侵略のためにやって来たヨーロッパ人たちに虐殺され、更には彼らから持ち込まれた疫病により、ほぼ絶滅に追い込まれた。
当時のヨーロッパは自国の利益のみを追求するものであり、砂糖が莫大な経済の柱となっていたため、各地でサトウキビの農地開拓が行われた。他にもバナナや綿花などの栽培も進んだ。しかしこの労働力はアフリカからの奴隷で過酷で悲惨で悲劇的な状況だった。またカリブ海は南米大陸から金や銀などの貴金属を運ぶルートになっていたため、海賊が人々を恐怖に陥れていた。(映画パイレーツ・オブ・カリビアンをイメージする人もいるだろう)
現在のカリブ海(西インド諸島)は一部の地域にしか純血の先住民族は残っておらず、それぞれの島の住人のほとんどが先住民とヨーロッパ人の混血や、アフリカから来た人々の子孫である。国として独立した島もあるが、イギリス、スペイン、フランス、オランダ、そしてアメリカの海外県や自治領などの島も数多くある。
カリブ海は約700の島で構成されているが、その内訳が複雑で大アンティル諸島や小アンティル諸島、バハマ諸島などがある。ここで紹介するグアドループは小アンティル諸島に属し、フランスの海外県だ。
人口は約40万人。フランスの海外県という位置づけだが、住民のほとんどはアフリカ系やヨーロッパ人との混血のクレオール人とよばれる人々だ。言語ははフランス語とクレオール語。
グアドループはとてもチャーミング
グアドループは蝶のような形をしている。「カリブ海の美しい海に魅了された蝶が、6匹の蛍と共に舞い降りた」地図には6匹の蛍の島は描かれていないが、島の形はこういう感じだ。「カリブ海の美しい海に魅了された蝶が、蛍と共に舞い降りた」そう考えると、とてもロマンティックな気持ちになる。
蝶の形の一部と思われる機上からの眺め。緑豊か。
人口約5,000人の英領モンセラートという小さな島からやってきたので、飛行機もかなり小型。操縦席のすぐ後ろの席から見える景色にワクワク♪
到着すると、見るからにゆる~い感じのクレオール人のおじちゃんが迎えに来てくれていた。
移動の車の中でおじちゃんがかけてくれた音楽は、現地の言葉クレオール語で歌われるズークという島音楽「フレンチ・カリビアン」。音楽通の中では有名だとか。少し古い記事だが、こちらの大学生の研究レポートがおもしろい。仏領マルティニークやハイチなどでも聴くことができる。
昔から陽気で明るいカリブ海の音楽は大好きだったが、フレンチ・カリビアン音楽はクレオール語の響きからだろうか、とても爽やかでその音の心地良さに幸せな気持ちになるふしぎな音楽♪
街中はいたってシンプル。フランスの海外県だが、フランスを感じることはない。
少し裏道に入ると、ドミニカ人街。(ここでいうドミニカ人はイギリス連邦のドミニカ国でドミニカ共和国ではない)ちょっと雰囲気が違う。ここは観光客は歩けない。
グアドループのすぐ下がドミニカ国。フェリーで簡単に入国できるそうだ。
グアドループはフランスの海外県であるため、フランス人が多い。貧しいドミニカの女性が渡って来て、フランス人相手に売春などを行っているとか。クスリなど麻薬関係の問題もあるそうだ。
グアドループを楽しむ♪おススメを紹介!
上空から見えていたように、緑が多い。熱帯雨林の自然に囲まれ国立公園の間に挟まれた道は、緑のトンネルが続く。
フランスで初めて認定されたグアドループ国立公園。湿地帯にはさまざまな生物が生息し、美しい川が流れ、滝もある。
海岸沿いを走ればカリブ海の美しい海に出合う。
ビーチで飲む、フルーツ・ラム カクテルは最高!
ビーチではバーベキューを楽しむフランス系の人々が多いのだが、長いフランスパンを持参している姿が目立つ!そういう時に、ここはカリブ海にあるフランスなのだなと再認識させられる。
食事はココ!
クレオール料理という地元料理がとても美味しい。グアドループでお世話になっていたおじちゃんに、ランチで連れて行ってもらったクレオール料理専門のブッフェレストランは、予約なしでは入れないほどの有名店だった→Restaurant DES CHATEAUX
席に着くと、まずは1ドリンクサービスとのことでラムコークをお願いした。当然グラスに注がれたラムコークが出てくると思ったが、さすがここはカリブ海。レストランオーナー夫人のおばちゃんが、高級ラム酒のボトルとコカ・コーラの缶をドンと置く。「好きな濃さで作りな!」と言う。見渡してみると店内は相当忙しそうだ。出してくれたのは、グアドループで最高級のラム酒だそう。
おじちゃんはこう言う。「僕が知り合いだから、作る手間を省いたな。2~3杯飲んでも彼女は怒らないから遠慮しないで!」と・・・。グアドループはラム酒の生産地であり、そのほとんどをフランスに輸出するため、質がかなり良いのだ。言う通りに慮なく2杯頂いた。あとで知ったのだが、出してくれたラム酒は最高級でフランス政府認定のラム酒だった。ラッキー(^^♪
どうしても写真が縦にならない・・・・ラベルにグアドループの形が描かれているのが可愛い♡
そして肝心の料理だが、これも驚いた。ランチはビュッフェ形式で、前菜だけで7~8種類。最初に並べられたプレートが前菜とは知らず、勧められるままに思いっきり食べてしまった。そしてしばらくしてメインも5~6種類出て来るではないか。もちろんそれ以外にライスやパン、パスタ、そしてデザートもある。おっちゃんは「もう食べないの?取って来てあげようか?」と言いながら、メイン料理も物凄い量を食べていた。周りを見渡しても皆、本当に良く食べている。しかし、さすがにラムコーク2杯と食べ過ぎた前菜でお腹はパンパンになり、おまけにほろ酔い気分。
海沿いのこちらも超人気店。あいにく満席で入れなかったが、眺めも素晴らしい!
ロブスターなどのシーフードやお肉などグリルのお店→La Rhumerie du Pirate
食事のあとは、運動!?
食事のあとに島の突端の展望台を目指して20分以上歩いたのだが、結構な悪路でかなりきつかった。「俺は車で待ってる。ゆっくり行っておいで~そんなにきつくないよ」と言われ安易に考え行ってみたが、けっこう濃いめのラムで酔いが回って、ただでさえ歩くのがきつくなったうえ、道を間違ったのか、おじちゃんが言うように全く楽ではなく、なぜか岩をよじ登る事態にもなり、足がうまく上がらず尖った所に膝をぶつけて流血したりしたという場所がこちらww
ルート的にはオレンジ矢印の方向なのだが。。。
入り口から既に不安がよぎる。
カリブ海の美しい海を堪能したいと思ったが、、、森を抜けるとお天気が・・・
道は険しくなり、意外と断崖絶壁感
多分、着いたであろう先端部分。この時は雨が降っていて、誰もおらず=誰にも聞けず。ぶつけた膝もいたいので、そそくさと退散!でもグアドループの地図上蝶の羽の右下の部分に来れて満足感はたっぷり。
こういった海洋生物も見れるようです!!
グアドループらしいお土産ならココ!
グアドループの海岸沿いに、セント・アンネというお土産品などの買い物を楽しめるエリアがある。
グアドループの蝶の形をした可愛らしいお土産品や、フルーツをラム酒に漬けたものや、様々な種類のシーズニング(スパイスやハーブなどを組み合わせた調味料)があり、ラッピングやボトルデザインもポップで愛らしく、見ているだけでも楽しい。
特にシーズニングはおすすめ!!在住フランス人はアレンジしてオリジナルを作ってもらっていた。
そんな中、フランス人の人だかりができ、ひときわ感じの良いおばちゃんのお店で足が止まった。
理由は単純。試食品が置いてあったから。試食に手を出したらおばちゃんのペース。軽快なセールストークに乗せられ、勧められるがままどんどん試食をして行くと、どれも全て欲しくなる。
しかもこのおばちゃん、他にもいるお客さん数人にも同時進行をしている。かなり商売上手。でも全く押し付けがましくなく、嫌な気分にもならない。様々な種類のスパイス類。SALADA CLEOLE はついつい大人買いしてしまった。
気付けば最初に欲しかった4ユーロの唐辛子風味のココナッツチップスの他に、ココナッツと砂糖がミックスされたココナッツ・シュガーや日本で流行りのマジックソルトを更に甘辛く美味しくしたものなど、合計40ユーロ近く買っていた。だってマダムが「ココナッツ・シュガーはバニラアイスに振りかけると美味しさが増すし、マジックソルトは肉料理や魚料理や、温野菜にオリーブオイルと共にかけても美味しいし、お友達にお土産にしてもいいじゃない!」と上手いこと言うのだから。
ビーチにはオープンカフェが立ち並び、気軽にビールやラムが味わえる。グアドループの伝統太鼓を叩きながら朗らかに歌う人たちから、「一緒に歌おうよ、踊ろうよ!」と声をかけられる。本当に楽しい♪
グアドループは良い面ばかりではない。しかし・・・
本国フランスとの経済格差、島内でのフランス人との生活格差、物価の高騰、若者の失業問題や近隣のドミニカ国から流入する売春婦問題など様々な問題も抱えている。2009年には物価高騰や雇用問題でデモをしていた人たちが暴徒化した事件も起きた。フランス人だけが豊かである光景をいくつも見た。
しかし「カリブ海の美しい海に魅了された蝶が、蛍と共に舞い降りた」というチャーミングで美しいイメージが変わることはない。グアドループには美しくたくましい羽を持った蝶のような現地マダム達や、人々の心を優しく明るく照らす蛍のような現地のムッシュー達にたくさん出会った。
その場所のイメージを作り上げるのは環境でも自然でも産業でもなく、やはり現地に暮らす地元民なのだとつくづく感じた滞在だった。
※この情報は2016年5月のものです。