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航空マニアの聖地【オランダ領シント・マルテーンーSt Maarten】世界でいちばん飛行機に手が届く着陸
テレビで観た「世界で一番飛行機に手が届きそうな島」
この島に2017年4月に行った。いや、正確に言えば「そんな島に乗り継ぎで4時間も滞在する機会があった!」と言った方が正しい。
まずは、カリブ海の歴史について少し
15世紀頃から始まったカリブ海におけるコロンブスを中心としたヨーロッパ人の侵略は数々の悲しい歴史を残している。
それぞれの島で平和で幸せに暮らしていた先住民族たちは、侵略のためにやって来たヨーロッパ人たちに虐殺され、更には彼らから持ち込まれた疫病により、ほぼ絶滅に追い込まれた。
当時のヨーロッパは自国の利益のみを追求するものであり、砂糖が莫大な経済の柱となっていたため、各地でサトウキビの農地開拓が行われた。他にもバナナや綿花などの栽培も進んだ。
しかしこの労働力はアフリカからの奴隷で過酷で悲惨で悲劇的な状況だった。またカリブ海は南米大陸から金や銀などの貴金属を運ぶルートになっていたため、海賊が人々を恐怖に陥れていた。
現在のカリブ海(西インド諸島)は一部の地域にしか純血の先住民族は残っておらず、それぞれの島の住人のほとんどが先住民とヨーロッパ人の混血や、アフリカから来た人々の子孫である。
国として独立した島もあるが、イギリス、スペイン、フランス、オランダ、そしてアメリカの海外県や自治領などになっている島も数多くある。
ちなみに”カリブ”とはcannibalism(カニバリズム)=食人族から来ている。大航海時代にカリブには好戦的な食人族がいると言い伝えがあったそうだ。
カリブ海の島々の構成も複雑で、大アンティル諸島や小アンティル諸島、バハマ諸島などがある。
シント・マルテーンはオランダの自治領、小アンティル諸島に位置
蘭領シント・マルテーンは島の南部、北部は仏領サン・マルタンとなる。言語で言い方が違う。私たちにとって馴染みがある言い方は英語のセントマーチン。
歴史的背景は省略。過去には侵略問題で色々あったものの、現在は一つの島でフランスとオランダで住み分けが成されていることは世界的にも珍しいそうだ。カリブ海地域の中でも観光客は多く、クルーズ船も良く停泊する。
特にオランダ領の方は面白い。日本のテレビでも放送されたことがあるが、航空マニアの聖地。
「世界でいちばん飛行機に手が届きそうな着陸」「世界でいちばん危険なビーチ」
として、とても有名なのだ。
その空港はプリンセス・ジュリアナ国際空港、マホ・ビーチというビーチ沿いにある。
空港から飛行機の発着が見れるマホ・ビーチまでは歩いて15~20分くらい。簡単なので迷うことない。実際に私も地図もGoogleマップを使うことなく、人の流れに付いていったら着いた♪
空港の滑走路が短いために特に大型機は随分手前から低空飛行体勢を取らねばならず、その様子を間近で見ることが出来るマホ・ビーチには世界中から人が集まるのだ。
運よくグアドループからマイアミへ向かう途中の乗継地がここだった。しかもビーチへは空港から歩いて15分ほど。乗継時間は4時間近くある。飛行機好きが話題の場所へ行かない選択肢はない。
ビーチサイドにあるカフェレストランのサーフボードには大型機の着陸時間案内が書かれてあり、人々はそれを参考にし、お目当ての大型機を待つ。
一番大きい飛行機は本国オランダから大量にオランダ人を乗せてやって来るKLMオランダ航空。
他には、エール・フランス航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、カリブ海の島々を結ぶリアット航空などだ。中型機や小型機も合わせると1時間に5本以上の離発着があるため、退屈することがない。
ランチがてらビーチサイドのカフェに入った。
カフェメニューのピザ名が面白い。航空会社名や航空に関する名前が付いている。
KLMオランダ航空ピザとコロナ・ビールと共に飛行機の離発着を見物することに。
しかし大型機以外もたくさん飛来してくるので、食事どころではない。写真や動画を撮ることに必死だ。
爆音と思った以上に近い距離に度肝を抜いた。
次はビーチへ行った。ビーチでやってみたかった事は、DANGERの位置でジェット噴射を浴びること・・・
ではなく、着陸して来る飛行機の真下に座ることだ。着陸前は遠くからライトを灯してやって来る。
飛行機がやってくるその延長線上にスマートフォンを構えて座った。もちろん動画だ。だんだん近づくにつれ、エンジン音も大きくなり、ライトの光が更に明るく見え、想像の何倍もの速度の速さに飛行機に引かれるような錯覚になり、恐怖を感じた。そして頭上をかすめて行く機体の腹の部分を見て妙に興奮した。飛行機が目前に来て、頭上を通り過ぎるまで僅か2秒足らず。
!音量注意!かなりの爆音がします。
あっという間の出来事。運よく2機続けて大型機が来てくれた。
横からの動画はこちら。爆音注意!
気付けばもうこのマホ・ビーチで3時間近く飛行機に釘付けになっていた。
そうそう、着陸だけでなく、離陸もすさまじい。飛行機が離陸する滑走路の一番端の延長がフェンスと道路を挟んですぐビーチであるため、飛行機のすぐ後ろに立つと、激しいジェット噴射を浴びる。砂塵や小石も飛んでくるので、サングラスや眼鏡をしてないと大変。でもフェンスのすぐ後ろで見るのは絶対にダメ!過去には飛ばされて死者も出たらしく、そういう遊びは禁止されているが、真後ろに立ってジェット噴射を浴び、その影響で足元がよろめき、砂浜から海へ転がり喜ぶ大人たちも多くいた。
DANGERの看板はいくつも建っている。でも言うこと聞かない大人ばかり。
動画撮影も写真も十分に撮ったので終了した。飛行機に乗ると、今度は私が撮影される側になっていた。
正確に言えば私がが乗ったアメリカン航空ということになるが。
飛行機の小さい窓からフェンスに張り付く人たちに手を振り、心からこう祈った。
「どうかジェット噴射で飛ばされませんように・・・」
こういう奇抜で貴重な体験が出来るから、カリブ海の渡航はやめられない。